日東国の運賃制度について

今回は日東国の運賃制度の話です。

現実の日本では鉄道事業者ごとに運賃が定められています。よって、違う鉄道事業者に跨がると通算せず一旦打ち切り新たに運賃が別途合算されるのが一般的です。また、赤字経営の事業者ほど運賃が高額になる傾向にあります。

一方、海外では事業者が異なっていても運賃は共通となっている国や地域もあります。パリやベルリンのように一定エリア内は同一運賃のゾーン制や韓国の首都圏電鉄のような事例があります。

日本が運賃共通化に踏み切れない理由は、海外とは違い数多くの民間企業が鉄道事業を行っている(いわゆる私鉄)ことと、それゆえ各事業者が独立採算で収支が決まりそれに基づいて各者運賃を決定していることが考えられます。


では日東国というと、鉄道事業者が異なっても原則通算する運賃体系となっています。

この様な体系が取れる背景として、日東国では全ての鉄道、バス事業者に一定の交付金(仮称:交通交付金? 名称未定)を交付しています。赤字の事業者、黒字の事業者拘わらず全ての事業者に対してです。現実の日本の地方交付税交付金みたいな感じでしょうか。
但し、全ての事業者とは言いつつも赤字の事業者に対しては交付金額を多くし、逆に黒字の事業者に対しては赤字の事業者よりも交付金額を少なくしているという設定です。

この様な交通交付金制度を取っている根拠として、日東国の憲法で保障されている「移動の自由」を基にした権利「交通権」があります。何人も公共の福祉に反しない限りは移動の自由が保障されています。

この交通権はフランスの国内交通基本法にインスパイアされて日東国にも導入しました。

Wikipedia「国内交通基本法
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E5%86%85%E4%BA%A4%E9%80%9A%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E6%B3%95

因みに、交通交付金の財源はどこから捻出されるかというと国民の住民税の一部から捻出していることにしています。権利の保障と引き換えに国民からあまねく税を徴収する形を取っています。
こうなると社会主義的な仕組みと感じる方もいらっしゃると思いますが、ここではその是非を問うことは当創作の趣旨から外れるので割愛させて頂きます。

(余談ですが、個人的な見解として今後の公共交通の行方は社会主義的アプローチであれば前述の通りに、資本主義的自由競争的アプローチであれば、自動車の自動運転が実用化され世間に普及し出したら特に地方はローカル鉄道やバスが消えて代わりに自動運転の自動車が幅を利かせているのではないかと考えます)

こうして、全鉄道事業者が交通交付金を受け取っているため運賃が現実の日本より低廉化されている、という設定です。
また、共通運賃を支える組織として地域別の「公共交通連合」が存在し、域内の鉄道、バス事業者が加盟して域内の共通運賃を取り決めていることになっています。

今回は日東国の鉄道運賃の概要を述べました。次回は詳しい制度の中身をかいつまんで説明します。